ソート・オブ・ユー/オーティス・ブラウンⅢ

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ジョー・ロヴァーノ(ts)のユニットなどで長年サイドマンとして活動してきたドラマーのオーティス・ブラウンⅢの初リーダーが、満を持してブルーノートからリリースされます。海外メディアでは7月くらいからかなり派手に宣伝されていて、ロバート・グラスパー(p)全面参加&デリック・ホッジ(b)プロデュースということで注目を集めていました。様々なジャンルと交わりながら生み出されるニューヨークのジャズシーン周辺の新たなトレンドを発信し、イベントの企画運営もするマネージメント・チームの「リヴァイヴ・ミュージック」と、ブルーノート・レーベルとの初めてのコラボ作品としても注目を集めています。

ニュージャージー州生まれで、幼い頃から教会でゴスペルを通して音楽家としての成長を遂げてきたオーティス・ブラウンⅢの人生の転機は、50年代から70年代にかけてブルーノート・レーベルで様々な名盤を生み出してきた先人トランペット奏者の故ドナルド・バードとの出会いでした。彼を師と仰ぎ、彼のもとでジャズを学んだ後、90年代後半にニューヨークに行くことを勧められた若きオーティスは、ニューヨークで後のシーンを支えることになる多くの同胞達と出会います。

現在パット・メセニーの“ユニティ”バンドで精力的にツアー中のベン・ウィリアムス(b)は、彼らよりひと世代若い世代となりますが、新作に参加している主要メンバーのグラスパー、ジョン・エリス(ts)、キーヨン・ハロルド(tp)、そしてビラル(vo)らとは、ニューヨークでの大学時代のクラスメイトで、今回のセッションは彼らにとっては十数年振りのリユニオンとなりました。

ジョン・エリスとキーヨン・ハロルドの2管フロントによるエネルギッシュなプレイとベン・ウィリアムス、グラスパー、オーティスのリズム隊のインタープレイが濃厚なアルバム前半から、現代ジャズシーンのワン&オンリーな歌姫グレッチェン・パーラト、ゴスペルシンガーのニッキ・ロスらシンガーをゲストに迎えた後半へと充実の仕上がりを聴かせてくれます。ゴスペル育ちのドラマーらしくアルバム後半での歌伴での見事な掛け合いなども聴きどころで、久々にピアニストに徹しているグラスパーのプレイや随所に光る心憎いアレンジもグラスパー&ホッジならではの仕事ぶりを感じさせます。

現在もなお、エスペランザ・スポルディング(b)らとともにジョー・ロヴァーノのレギュラーを務め、今年メジャーデビューしたシンガーのSOMIのバックでも精力的に活躍する注目株オーティス・ブラウンⅢの初リーダー作、是非チェックしてみてください。

Writer: 稲田 利之

タワーレコード難波店