デューク・ピアソン

66gro

THE RIGHT TOUCH

すらりとした長身に端正なマスク。そんでもってピアノを弾いてビックバンドも率いたりするわけだから、もちろん女性はピアソンを放っておかない。「会うたびにピアソンは違うガールフレンドを連れていたよ」という男前エピソードがうれしい。ジャズメンは僕たちの憧れの存在。そうでなくては困るのだ。彼の魅力は卓越した作曲能力に尽きると思う。ピアノプレイ自体は淡白すぎて今一つ物足りない。そういった切り口でいけば、一般的に代表作とされるブルーノート盤『プロフィール・デューク・ピアソン』などのトリオものよりも、ホーンも加わったサウンドの本盤あたりがいい。キャッチーな冒頭曲「チリ・ペッパー」が有名だけど他にも華は多い。カッコよさの極みの2曲目「メイク・イット・グッド」~ボッサな歌心の3曲目「マイ・ラヴ・ウェイツ」~グルーヴィな4曲目「ロス・マロス・ホムブレス」の流れが最高。プレイヤーではジェームズ・スポールディングのアルトが熱い。グラディ・テイトのドラムもキレてる。

HUSH!

いかにもジャズラインな渋い一枚。華やかなイメージのあるピアソンだけど、こんな路線もまたピアソンの一面。LPで言うところのB面にあたる後半がいい。今回改めて聴き直してみてクライマックスは6曲目「フライデイズ・チャイルド」だと確信した。素朴な旋律を丹念に心を込めて歌い上げるジョニー・コールズのトランペットが絶品。ラスト「アウト・オブ・ディス・ワールド」でのピアソンのピアノも素晴らしい。ピアノが今一つなんて言ってしまってゴメンナサイ(反省)。

THE PHANTOM

デューク・ピアソンに異国の要素は外せない。ブルーノートの後期2枚『How Insensitive(1969)』、『It Could Only Happen With You(1974)』を聞けば、ブラジルのエキスに染まった上品なアレンジャーの姿をみることができる。起用したミュージシャンは、エルメート・パスコアール、フローラ・プリム…。彼のこのエキゾ感覚はいつから生まれてきたんだろう。おそらく、この『The Phantom』からだと思う。他のアルバムよりもずば抜けて刺激的な内容といわれ、なかでもミステリアスでアヴァンギャルドなタイトル曲は、二人のコンガを従え、ピアノ、ギター、ヴァイブが少ない手数でハッとする音色を紡ぐ。ムーディーな中にも知的でヒリっとする質感を感じる秀作だ。このアルバムのリリースのあと、アイアート・モレイラ(per)を迎えた『Merry Ole Soul(1969)』へと続く。

Writer: 永野 敦史

ジャズリスナーズクラブ「MOONKS」メンバー。ビル・エヴァンスの『Moonbeams』からジャズの世界へ。MOONKS監修のディスクガイド『JAZZとびっきり新定盤500+500』も好評発売中。

Writer: 大塚 広子

DJ/ライター。全国各地のクラブから、フジロックや東京JAZZなどのフェスまで、ジャズDJとして約15年。ジャズ喫茶でのイベント企画や、ジャズ誌などでの執筆も。