ダーク・ナイツ/アヴィシャイ・コーエン

201408next

 1978年、イスラエル生まれのトランペット奏者アヴィシャイ・コーエンは、音楽一家に生まれ幼少の頃からその才能を輝かせました。10代で地元のビックバンドに参加し、ユース・オーケストラのメンバーにも選抜されるほどの早熟ぶりを見せ、その後渡米のチャンスをつかみ、新天地でさらにその才能を開花させます。1997年には当時まだ無名ながらもセロニアス・モンク・コンペティションのトランペット部門で3位に輝き、満を持してのニューヨーク進出後、2003年に初リーダー作『The Trumpet Player』をリリース。作品を重ねていくにつれ、その非凡なる才能は注目を集めるようになりました。
 
 活動の拠点とするニューヨーク、故郷イスラエル、そしてツアーで頻繁に出向くヨーロッパを行き来しながら、2000年代半ばにはイスラエル育ちのフランス人シンガーソングライターのケレン・アンのバンドに参加しツアーにも同行、ジャズ・シーンの外にも活動の場を広げていきました。ニコラス・ペイトン~デイヴ・ダグラスの後任として精鋭オールスターズ・ユニット「SFジャズコレクティヴ」ヘの参加、兄弟のユヴァルとアナットとのユニット「3コーエンズ」でのニューヨークの老舗ジャズクラブ、ヴィレッジ・ヴァンガードへの定期的な出演に加え、先のケレン・アンのワールド・ツアーやオメル・アヴィタルのユニットでのヨーロッパ遠征などでも多忙な生活を送るようになりました。
 
 そんな中で自身のユニット「トリヴェニ」では、オメル・アヴィタル(b)とナシート・ウェイツ(ds)をレギュラーとして迎え、2010年と2012年に『Triveni』『Triveni2』をリリース。ベースとドラムスと自分のみという、トランペット奏者にとって逃げ場のない最も過酷なセッティングを自身の活動の基盤とし、ストイックなまでに研鑽を積んできたアヴィシャイの静かでひたむきなプレイは、年々熱心なリスナーの共感を集めつつあります。
 
 待望の9月来日公演前に到着した「トリヴェニ」名義での約4年振りの新録『DarkNights』では、アナット・コーエン(cl)、ジェラルド・クレイトン(p)、ケレン・アン(vo)などのゲスト参加や、エフェクトをオーバーダブした実験的な数曲でのトリオでの新たな音像も聴き所です。イスラエリアン独特の哀愁のメランコリーを漂わせる乾いた音色とジャズの偉人達へのリスペクトに支えられたアヴィシャイのトランペットの幅広い表現力を基盤に、スタンダードからオリジナルまで濃密なトリオのインタープレイを堪能できるこのユニットでの活動で、トランペット奏者アヴィシャイ・コーヘンへの評価はさらに高まるに違いありません。是非チェックしてみてください。

Writer: 稲田 利之

タワーレコード難波店