LUV時さえ忘れて/吉田ルイ子

私はジャズだけでなく、クラシックも好きだ。最近だと、グールドやホロヴィッツなどを聴いて楽しんでいる。グールドとカラヤンのベートーヴェンやシベリウスを聴くと、自分の身体が少し大きくなったように感じるのは私だけだろうか。グールドなら、続けてモスクワやレニングラードでのライブも聴きたくなる。

でも知らぬ間に、またジャズにもどっていて、例えば先日も、気づいたら、ランディ・ウェストンの「マラケシュ・イン・ザ・クール・オブ・ジ・イヴニング」を聴いていた。
そうなると、他のランディ・ウェストンも聴きたくなり、いろいろ探しまわることになるのだが、そういうところも本の場合とよく似ている。そして持っているCDを聞き終わると新たに欲しいCDのことを考え出すのだ。好きなミュージシャンや作家ができると、すべて買い集めたくなるのは、自分でもちょっと面白い。
吉田ルイ子さんの本を読んだのは何年ぶりだろう。講談社文庫で『ハーレムの熱い日々』や『自分をさがして旅に生きてます』を読んだのは、ジャズに出会った頃だった。
吉田さんは、フルブライト交換留学生として渡米、そのままニューヨークに住んで写真などを学び、帰国してフォトジャーナリストとして活躍した。
今回読んだ『LUV 時さえ忘れて』は、取材日記になっていて、ジャズやブルースやレゲエの故郷を訪ね、素晴らしい写真と文章で紹介している。写真で面白かったのは、ミンガスの足だけ取ったもの。文章でよかったのは、マイルスを撮ろうとずっとヴィレッジ・ヴァンガードに通っていたが、いざマイルスが登場し演奏すると、その眼光で、シャッターを押すことができなくなったというところだ。

Writer: 山本善行

1956年生まれ。2009年京都市左京区に「古書・善行堂」をオープン。スムース編集人代表。著書に「古本泣き笑い日記」、「関西赤貧古本道」ほか。

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