タビー・ヘイズ

LATE SPOT AT SCOTT’S

ジャズファンにとって必ず存在する憧れの1枚、僕はこの「赤タビー」だ。廃盤店では壁の最上位に君臨する絶対的エース。ファンとしてその終焉を迎えるまでに果たして聴けるものか、そんな存在だったようにさえ思う。先般、念願のLP&CDでの再発、泣いた。1曲目「ハーフ・ア・ソウバック」と、3曲目「ソーセージ・スクレイバー」があまりにも素晴らしく甲乙つけがたい出来。EUのNo.1テナーのタビーはもちろん、相棒のジミー・デューカーも最高。ちなみに大阪梅田のレコ屋「seeeds」のご主人は6曲目「ヤー!」がお気に入りだとか。なるほど、アラン・ガンリーのドラムはもちろん、ラストにクインテット・テーマに流れ込むくだりなんか絶品だ。

DOWN IN THE VILLAGE

こちらは姉妹盤「白タビー」。これはもうタイトル曲一発と言って差し支えないだろう。どジャズ系よりもクラブ系のファンからの高い評価でその地位が確立された1枚のように思う。今回、よく聴いてみると全般でアラン・ガンリーのドラムが頑張っていることに改めて気が付く。EUジャズの弱さはドラムと言う。確かにフィリー・ジョー・ジョーンズを頂点に数えきれないほどの才人が君臨する本場アメリカと比較すればそう思う。でも、アメリカン・ビートへの憧憬を胸にこうやって頑張っている姿に感銘するのだ。ちなみにこの2枚の他ならテンポ盤『タビーズ・グルーヴ』とエピック盤『タビー・ザ・テナー』がいい。NYのミュージシャンと堂々と渡り合う後者は、マイルスの最強リズムセクションと渡り合ったアート・ペッパーのコンテンポラリー盤『ミーツ・ザ・リズムセクション』を彷彿とさせる好演。

VOODOO SESSION

こちらはタビー・ヘイズのB級盤をご紹介。2009年イギリスの復刻レーベルTrunkからリリースされた限定プレスの3曲入り7インチ盤。当時ジャケットのイメージからかアフリカン/民族系カテゴリーで、DJユースのアナログショップでも幅広くプッシュされていた。実はこれ、イギリスのホラー映画、『テラー博士の恐怖』(1964年)のサウンドトラック。「…演奏旅行で訪れたハイチ島でVoodoo教のメロディを盗み、自分らのバンドで演奏するがたたりを受けて演奏会場は滅茶苦茶に…」なんていう演奏シーンで吹き込まれていたのが、このタビーヘイズ・クインテットだったというわけ。こんな場面でこんなイケてる曲ってあり?ともかく、あわせて収録されているスウィンギーなヴォーカル・ジャズもおすすめだし、コンパクトにまとまった長さも現場向きで◎。

Writer: 永野 敦史

ジャズリスナーズクラブ「MOONKS」メンバー。ビル・エヴァンスの『Moonbeams』からジャズの世界へ。MOONKS監修のディスクガイド『JAZZとびっきり新定盤500+500』も好評発売中。

Writer: 大塚 広子

DJ/ライター。全国各地のクラブから、フジロックや東京JAZZなどのフェスまで、ジャズDJとして約15年。ジャズ喫茶でのイベント企画や、ジャズ誌などでの執筆も。